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無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 【インド14日目①】エローラ遺跡で妖精に遭遇   

1月19日 エローラ

体調はすぐれないものの、今日はずっとたのしみにしていたエローラの石窟群に日帰りで行くのだ。
きのう出会った日本人のかんたさんは、
「アジャンターよりエローラの方がすごそうだから、良い方を後に残しておくんだ」
と、今日は先にアジャンターに向かうとのこと。わたしは逆にしてしまった。
宿からほど近いセントラルバススタンドから出ているローカルバスに乗って、小1時間(Rs22/約44円)。むかし地理で習った「デカン高原」に遺跡はある。

インドのど真ん中。デカン高原。でも遺跡のことは習わなかった。……と思う。
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エローラ石窟群は、南北ヨコ一列に並ぶ岩山に彫られた石窟で、全部で34窟ある。
そのいちばんの見所が第16窟。
入場券を買う窓口から駐車場を通って石窟群へまっすぐのびる道は、ちょうど第16窟に行き着くようになっている。第1~15も、17から34も、16窟をはさんで左右に延々と並んでいる。

初期(7~8世紀※)に造られた第1~15が仏教石窟群。中期(6~9世紀※)が第16~29でヒンドゥー教石窟群。そして後期(9世紀頃※)が第30~34でジャイナ教石窟群とのこと。400年近くかけて3つの宗教がひとつの場所にコツコツと寺院を築き上げたのだから、変わっている。
※いくつかの本とネットで調べたところ、時期はごく微妙なバラつきがあった。

第16窟は「ものすごい」ということなので、あえて見ないようにして(といっても目の前にどーんとあるのだけれど)、向かって左側、第17から奥へと見ていくことにする(このとき何故素直に第1から見なかったのか、天邪鬼)。

宗教建築の知識は残念ながらまったくないけれど、ものの本によると、仏教窟とヒンドゥー教窟の大きな違いは、僧侶が住む「僧院」の有無らしい。ヒンドゥー教窟は、僧侶が修行する場所ではなく、神々を祀るために造られたということだ。
一定の距離を置いて、点々と崖に沿って彫られた石窟には、なるほど、確かに神様がずらり。

上から下まで細かい彫刻が。
とにかくどこも明暗が激しくて写真はきれいに撮れない。肉眼で見るとその細かさに圧倒。

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天井にも!!
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日が沈むまでに帰りたかったので、足早に次々と見学していくと、途中で行き止まりになってしまった。間に大きく深い川があり、先へ進めない。崖に沿ってつくられた階段で隣の崖?に行けるようにしてあったのだが、その階段が立ち入り禁止になっている。でも、見ると向かい側の崖にはちゃんとひとがいるではないか。
どうやらみんな車で周っているらしい。
そう、みんな車で、とりわけツアー客は主要なものだけを周っているのだ。
「歩き方」にも「これらの石窟をすべて見て歩くひとはあまりいない」と書いてある……。

仕方がないので引き返す。
最初の第16窟まで戻って改めて車道を行くしかないのだろうか……。
が、途中でふと崖を見上げた。

そういえば、来るときに白人の女性がインド人のガイドを連れてこの崖を登っていくのを見た(ちなみにふたりはバイクで周っており、そのバイクが道端に乗り捨てられていた)。きっとガイドが秘密の道を知っているに違いない。というか、崖の上は、川の向こうまでつながっているではないか。わざわざ迂回しなくても行けるのでは。



周囲には誰もいないし(なぜならみんな車で移動しているから)、ちょっと登ってみることにした。まさに「よじ登る」とはこのこと。インドのデカン高原で、炎天下で、ひとり崖をよじ登っているわたし。
そうは言っても、ひとが歩くための場所ではまったくなく、乾いた岩と砂、雑草でどこまで登れるのかもわからない。ちょっぴり途方に暮れた。

すると、崖のさらに上から声がした。

見るとインド人の青年がこちらを見下ろし、なにか言っている。
よくわからないけれど「あっちへ周って登ってこい」と言っているようだ。青年の指さす方へ向かうと、たしかに登りやすそうな平たい岩の場所があった。まさに天の助け! 
「ありがとう」と青年のいる場所にたどり着くと、青年は「カム、カム(come)」と言って歩き出す。どうやら案内してくれるようだ。
助けてもらっておきながら、「これはもしやガイドでは」と警戒心が働く。勝手にガイドを始めて後で法外な金額を請求するという話は日常茶飯事だ。そもそもなぜガイドがあんな、観光客など誰も行かないような崖の上で客待ちをしていたのかよくわからないが、ここはインドだ。なんでもありな国なのだ。

「森」ではなく「台地」なのでとりあえず頭上に障害物はない。
配色の具合で一見「道」のようなものに見えるが、道ではなく、ひたすら荒地。
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青年は黙ってひたすら歩く。その後を一生懸命追かけているうちに、目の前が開けた。なんと、緑のきれいな池があり、それを囲むように石窟寺院が並んでいる。

こういう景色が見れます。
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きれい。
青年が石窟を指さすので、覗き込むと、片言の英語で短い解説をしてくれた。
ここではっと思い出す。白黒はっきりさせなければ。

「助けてくれたのはとってもうれしいのだけど、わたしガイドはいらないの。
だからもしあなたがガイドなら、ここでもう結構です」
(案内してもらっておいて我ながらひどい言いぐさだ)

「僕はガイドじゃないよ」

え。ガイドじゃないの? でもたいていの悪徳インド人は、最初はみなこう言う。そして結局お金を要求するのだ。

「僕はセキュリティだ」

セキュリティ……。警備員? でも青年の格好はただの白シャツにジーンズだ。

青年はまた「カム、カム」と次の石窟へと進む。
どの寺院もとても小さく、造りも簡素だが、こんなところガイドブックに載っていなかった。しかもほかの石窟群より高い場所にあるので、とかく景色が抜群に良い。ちょっと得した気分。
ひと通りその場所の石窟を見ると、最後に青年は再び道なき道に突っ込んでいき、ある場所で立ち止まると、無言で先を指さした。

なんと、行きたくても行けなかった向こう側の寺院が遠くに見える!!

口数が少ないこともあいまって、なんだか青年がお導きの妖精かなにかに見える。
しかし、妖精も最後はこう言った。

「バクシーシ(=チップ)?」

あげない理由はなかった。

眼下に石窟寺院。中心から少し左側に柱のようなものがあるのがわかるでしょうか。
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by paquila | 2011-04-10 18:53 | 【インド-2011】西インド | Comments(0)

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